シナリオライターになりたい人のためのブログ。

あんこといんことうんこの境目が知りたい。

初心者向けのシナリオの書き方【舞台編】

シナリオ、と一口に言っても

ゲームのシナリオ、

ドラマの脚本、

舞台の脚本、

ドラマCDなどの音声作品の台本

…と、媒体が変わると呼び方も変わって

書き方も変わってきます。

この書き方の違いで、最初、色々戸惑ったのを思い出したので

それぞれについて特徴をまとめます。

 

 

今回はシリーズ最後、舞台脚本について、です。

去年、ご縁あってゲームの舞台化の

お仕事をいただいたんですが

(詳細はここで書いてます↓

舞台版【結ひの忍】の脚本を担当しました) 

 

初めての舞台脚本ということで、苦戦しました。

プロデューサー、演出家、原作の方々…

ともかく色々な方の助けを借りてなんとか書き上げた、

ということは記事にしてあるんですが

あのときは何とか書いた、ということしか覚えてなくて

技術的なところの振り返りはできてなかったので

今一度、振り返りたいと思います。

 

まず、私は普段、

ノベル系の恋愛シミュレーションのシナリオを書いてます。

基本的には主人公と攻略対象キャラの二人で

会話しながらお話が進んでいく感じなのですが

舞台となると…

 

10人とか20人とか

一気に登場して

全員がどこにいて、何をしてるか、どう喋るか

全部考えて書かないといけない! んですよね。

 

もちろん、2人きりとか一人語りのシーンもあるけど

基本的には複数人を一気に描く、

というのがほんと、大変でした。

 

ドラマや映画、小説などの視点を固定して

みせたいところだけ見せる、というのもできず

とにかく全体を俯瞰しながら書くことが

なかなかできなかったんですよね…。

 

なので第一稿をあげたときに演出家さんから指摘されて

グッと心に刺さっているのは

 

・場面の切り替わりがマンガみたい

 

という言葉。

マンガの場合、次のコマで、もう別なシーンに移っている

ということよくありますよね。

ノベル系でも、次の日、とかしばらくして、という説明入れて

いきなりすっ飛ぶことあります。

けれど、舞台の場合は、シーンが変わる際には

役者さんが舞台からはける(退場する)

幕が下りて一旦区切りを入れる、などひと手間かかるので

あまりパッ、パッ、と切り替えず

会話だったり行動の中で自然とシーンが変わるよう

考えて書かないといけないんだなぁ…と学びました。

 

一通り書いて初稿をあげたことで

いかに自分が書けないか、を知ったので

そこから、

dアニメストアで舞台の映像を見て、ところどころ止めながら

各役者の立ち居振る舞いやセリフ、

どんな意味を持たせたシーンなのか、を研究しました。

舞台の上手、下手、どちらから出てくるか

決めゼリフの際に主人公はどこにいるか、など。

あと、知り合いの声優さんが出ている舞台なども観に行って

ライブ感を味わったりもしました。

 

原稿書く前から、もちろんインプットはしてましたが

一度書ききって、いかに自分が書けないかを知らずにいるときと

知ってからとでは吸収するものが違ってきます。

 

なので、初めて舞台の脚本を書く、というときは

一度、最初から最後まで書ききってから

自分の脚本は盛り上がりに欠ける、

ここぞというキャラの見せ場がない、

会話が弾んでない、

などの足りない要素を洗い出して、

そこから実際の舞台を観て、研究して

必要なエッセンスを抽出する。

 

というやり方が私には合ってました。

 

ゲームでも小説でも、この方法は役立つかもしれないけれど

いかんせん、ボリュームが違うので…

一度書ききってみればいいじゃん、とは簡単には言いません。

ゲームや小説は話の構成をプロットの段階できっちり詰めれば

ちゃんと書けると思います。

 

いかんせん、これも去年一度経験しただけなので

あまり深いことは書けないんですが、

最初の第一歩を踏み出すときに

少しでも参考になれば…程度で書いてます。

 

あくまで初心者向け、なので

さらに上達したい人はさらなる研究をして

演劇のワークショップなどに参加して

実績のある人から教わるのがいいかと思います。

 

このシリーズは、

“シナリオ書き方講座”というカテゴリーで

ひとくくりにしてるので、まとめて読みたい人は

そのカテゴリーから読み返してみてください。

 

 

ライター6年目で落ちた罠

シナリオライターを始めて6年…

ん、年も明けたし7年目かな?

ともかく、ここまでシナリオの仕事のみで

食べてこれました。

 

ときおり誘われて会社に所属してたこともあったけれど

そこではディレクターやシナリオ管理、監修の立場で

いちライターとして以上の経験が積めました。

 

そして、ここ数年は特に営業することなく

依頼が来るようになって

いつも半年先までスケジュールが埋まってる、

そんな状態です。

 

こう書くと、かなり順風満帆で

恵まれてるなぁ…と思います。

いいご縁によって、ライターとして生かされてる

そう感じて感謝はあるんですが

 

 

幸せか?

 

 

と、問われると

素直に頷けない。

 

私がライターになる前は

アフィリエイトのサイトつくったり

オンラインショップのシステムつくったり

と、ゲームとは違う業界にいました。

 

そこから、ゲームをつくる楽しさに目覚めてしまい

これを仕事にしたい…!!

私はゲーム制作に携わって生きていきたい!

そう強く感じて、

webデザイナーの経験を活かして

アプリ制作会社にデザイナーとして入り、

徐々にゲーム業界に入り込みました。

 

そして、物語の世界観をつくるほうへ移動したいなぁ…

と、シナリオライターへ職を移す、ということをしました。

 

改めて書くと、

どうしてそんなことできたの!?

と驚いてます(笑)

業界を変えて、さらに職まで変えるって

かなりすごいことだと思うんですけど

あのときはただがむしゃらで、

 

楽しい!

知りたい!

学びたい!

 

という、子どもみたいな無邪気さで、

常識に囚われず

あり得ないようなことを

やり遂げたんだ、と思います。

 

そのときは、幸せでした。

やりたいことが多くて

目を輝かせてたと、思います。

 

なのに、今はあのときのような

キラキラした想いがない。

 

いつの間にか、

書きたい! という衝動が

書かなきゃ…という義務に変わってたんですね。

予定が詰まってるから

依頼がきても断るような状況になり

それはそれで

心苦しくて…。

 

目の前に積まれたものを片づければ

もっと依頼受けられる。

 

いっぱい仕事すれば

それだけお金が入ってくる。

 

徐々に、私は

無邪気な子どもから、

計算する大人になってました。

 

そのせいで

去年の後半はただ苦しかったです。

頭では書かなきゃ、と思うのに

心が跳ねないから書けない。

 

今までの経験から、

そこそこの文章は書けるけど

能動的じゃなく、受動的だから

筆が進まない。

 

どうしよう、どうしよう、と

ただ焦りばかり大きくなっていく。

今までも何度かスランプはあったけど、

あがいてるうちになんとか

抜けられる一時的なもので

今回は根本的な何かを変えなきゃ抜け出せない。

 

そんなときに、前の記事で書いた本に

出会ったんですが。

※前の記事

がんばっても、がんばっても、苦しい。そんな状況から抜け出す方法。

出会った本は、こちらです。

宇宙の法則を使って「人体実験」に成功しました

宇宙の法則を使って「人体実験」に成功しました

 

 

 

 

何度も読み返して、

書いてあることを噛み締めて、

そして、自分が今どんな状況なのか

よく理解しました。

 

私は頭で全部考えて

打算で動いていた。

そのせいで、心が死んでたんだ、と。

 

フリーランスで家から出ないから

普段化粧することはないし

もう、数年くらい化粧品を買ってなかった。

 

髪形もあんまり気にせず、

美容室は半年に1回くらいいけばいいほう。

 

毎日お風呂に入って

最低限の清潔は保ってたけど

それ以上のオシャレを楽しんだり、

してませんでした。

 

ゲーム業界に入ろう、と決めていたときは

知らない交流会にも出て

とにかく人に会うために

オシャレしてたのに。

いつから私は自分をちゃんと見なくなった?

と愕然としました。

 

そこから、本の教えにしたがって

自分を甘やかすことにしました。

 

まずは、デザインよりも値段重視で買って

あまり着てない服を捨て、

(20Lのゴミ袋4,5個分くらいあった)

読んでない本を売り…と

整理するところから。

 

そのうち、物をおくスペースができると

心にも少しずつ余裕が出てきて

新しいものが欲しくなってきた。

 

そこで選ぶときは値段よりも

デザインを見てカワイイ! と感じた

直感を頼りに。

 

そうやって選んで、迎えたバッグや服は

身につけるたびにキュン、として

そうなると出かけたくなって、

さらにそうなるとメイクもしたくなって…と

ドンドン欲しいものが出て来て

ダイエットもしたい、と思うようになって

自分と向き合うことが多くなりました。

 

すごく遠回りだけど、

こうしてしめつけてた自分への鎖を

少しずつ緩めていって…

自分に自由にふるまうことを

許していきました。

 

だいたい3ヶ月くらい。

 

心のリハビリを続けて、

ようやく最近、

あ、自分の書くシナリオ好きだな、と

感じられるようになりました。

 

お金の為じゃなく、締め切りがあるからじゃなく

自分でつくる物語が好きだから、

私はこのシナリオを書いてるんだ。

 

ようやく、そこに帰ってこれました。

 

ここから、ワクワクしていたあの頃に

戻れるようさらにリハビリを続けていきます。

 

仕事にワクワクなんていらないだろう、

…なんてことはない!

ワクワクこそ最強の活動力です。

それがあれば夢のようなこともできちゃうんです、人間て。

 

もしつまづいて、立ち止まってしまった人が

この記事を読んでくれてたら

自分の心に問いかけてください。

 

「私は何にワクワクするんだっけ?」

 

自分の気持ちが分からないときは、

周囲を見回して

気持ちいいと思える環境をつくって

ホッと力を抜くようにしてください。

そうすれば、自ずと湧いてくるはずだから。

 

色んなことを長く続ける、て大変なこと。

 

がんばりすぎず、ときに緩むことも大事です。

 

 

***

 

 

ちなみに、緩んで力を抜けば

見えてくるものがあるよ、と

優しく教えてくれる映画があります。

めがね[Blu-ray]

めがね[Blu-ray]

 

小林聡美さんと、もたいまさこさんが出ている

かもめ食堂に引き続き制作された、めがね。

かもめ食堂を最初に観たとき、その世界観にハマって

延長線でめがねを観たんですが

私にはこっちの作品のほうが性に合ってたようで

DVDを買ったんですが、

最近Blueray を買い直しました。

もう何十回も観てます。

けど、飽きません。ゆるやかに、だけど大切なことを教えてくれる、

がんばりすぎた私にピッタリなんです。

 

ちなみに、今すぐどんな作品か観てみたい人は

こちらをどうぞ。

めがね

めがね

 

 

初心者向けのシナリオの書き方【テレビドラマ編】

シナリオ、と一口に言っても

ゲームのシナリオ、

ドラマの脚本、

舞台の脚本、

ドラマCDなどの音声作品の台本

…と、媒体が変わると呼び方も変わって

書き方も変わってきます。

この書き方の違いで、最初、色々戸惑ったのを思い出したので

それぞれについて特徴をまとめます。

 

 

初心者向けのシナリオの書き方【ドラマCD編】

を書いてから、

アクセス数が倍に伸びているんだけど…

そんなに関心を集める内容だったのかな。

もし、シナリオに関して

こういう情報が欲しいとかあれば

リクエストください~。

私で答えられることなら、お答えしますので。

 

今回は、【テレビドラマの脚本】について

書きたいと思います。

 

とはいえ、実は私、テレビのお仕事は

したことないんですけどね。

経験ないのに何を書くんだ!

…と怒らないでください。

確かに未経験なんですけど、私が通っていた塾

映画やテレビ、アニメの脚本を書きたい方へ―MTA実践シナリオ塾

ここで先生から教わったことで

「勉強になるなぁ!」と感じたことを

今回はお伝えします。

詳しく書き方を教えて欲しい! という場合は

塾生募集中なので、ぜひMTAに通ってみてください。

少人数制で、課題にそってみっちり教えてくれるので

すごく為になりますよ。

 

で、肝心のポイント。

テレビドラマの脚本を書くときは

ここを意識するように、と言われたのは…。

 

音声だけでも何をしているか分かるようにする

 

・人物の感情は行動で表す

 

この2点。それぞれ解説していきますね。

 

音声だけでも何をしているか分かるようにする

とは?

 

映画館で映画を観る場合は、

「さ、観るぞ!」と気合入れて行くじゃないですか。

気合は入ってなくても、映画館に足を運んで

座席に座った時点で他のことはできず、

じっくり集中して見る体勢になる。

けれど、家でテレビを観る場合、

だいたいが何かをしながら…だったりしません?

 

これ書いてるの冬なので、

こたつに入ってみかんを食べながら…もあるし、

スマホをいじって、アプリで遊びながら観る人も

いるかと思います。

もちろん、集中して見ている人もいるだろうけれど

だいたいが何かをしながら、で見ていると想定して

役者さんのセリフや、効果音、音楽などで

今どんなシーンか伝える努力をするそうです。

 

ゲームだと、画面見ながら操作して遊ぶものなので

そこが違うなぁ…と感じて

印象に残ってました。

脚本を書く段階ではなく、

演出の領域になることかもしれませんが、

これを踏まえたうえで脚本を組み立てると

より完成度が高まるんじゃないかと思いました。

 

・人物の感情は行動で表す

とは?

 

これは、サンプル交えて話しますね。

例えばカフェにいる男女のシーンを描いた場合。

 

▼サンプル(ドラマ脚本)▼

女性「何よそれ!」

 

   彼女は声を荒げて、手元にあった水の入ったコップを手にした。

   そして、それを向かいに座る男性に浴びせる。

 

女性「そんなこと言われても、私は関係ないから」

 

   勢いよく立ち上がり、そのまま彼女は振り返ることなく

   靴音を鳴らして店を出ていった。

▲サンプル(ドラマ脚本)▲

 

これを私が普段書いている、

ゲームのシナリオにした場合。

 

▼サンプル(ゲームシナリオ)▼

女性「何よそれ!」

 

彼女は怒りを覚えて、すぐ近くに水の入ったコップを手にして

勢いのまま向かいに座る彼に浴びせた。

 

女性「そんなこと言われても、私は関係ないから」

 

そうとだけ言い残して、イスから立ち上がる。

胸の奥がむかついて、イライラする思いを抱えながら

店を後にした。

 

▲サンプル(ゲームシナリオ)▲

 

どっちにせよ、彼女が彼に何かを言われて

怒ってるんだな~と伝わると思います。

けど、ゲームシナリオの場合は

文字がそのまま画面に表示されるので

彼女の心情についても描写しています。

 

胸の奥がむかついて、イライラする思いを抱えながら

 

…このシーンだと書かなくても伝わるとは思うけど

サンプルで分かりやすくするため、

あえてこんな描写にしました。

ゲームだと、立ち絵(キャラクターイラスト)の表情に限りがあり

あまり複雑な感情を表現しきれなかったりするので

その場合は文字で描写することになります。

 

けれどテレビドラマの場合、

こういう内面を書かれると、

役者さんや演出家がどう表現すればいいか、曖昧になります。

 

なので、

 

   勢いよく立ち上がり、そのまま彼女は振り返ることなく

   靴音を鳴らして店を出ていった。

 

と、行動を細かく書きました。

ゲームならイライラしながら店を後にした、で済むけど

ドラマはそれを元に演技をするので、

こんな感じになります。

 

脚本は、ドラマという作品の設計図のようなもの、

それを基にたくさんのスタッフが動くことになるので

誰が見ても分かる表現を心がけるよう、言われました。

 

この2点が私としては、いつも書いているものと違い

すごく勉強になったんですがどうでしょう。

ドラマ脚本の勉強をしている人には

分かりきった内容かもしれないし、

違うかも…と感じるところあるかもしれません。

 

ただ、まったくの未経験で執筆に挑むときには

少しくらい役に立つかなぁ…と思い、

この記事を書きました。

 

残りの舞台脚本についても

書いていきたいと思います!

このシリーズは、

“シナリオ書き方講座”というカテゴリーで

ひとくくりにしてるので、まとめて読みたい人は

そのカテゴリーから読み返してみてください。