シナリオライターになりたい人のためのブログ。

あんこといんことうんこの境目が知りたい。

初心者向けのシナリオの書き方【ドラマCD編】

シナリオ、と一口に言っても

ゲームのシナリオ、

ドラマの脚本、

舞台の脚本、

ドラマCDなどの音声作品の台本

…と、媒体が変わると呼び方も変わって

書き方も変わってきます。

この書き方の違いで、最初、色々戸惑ったのを思い出したので

それぞれについて特徴をまとめます。

 

 

ゲームシナリオについては、

初心者向けのシナリオの書き方【ゲームシナリオ編】

で書いたので、

今回は、【ドラマCDの脚本】について。

ドラマCDって聞いたことありますか?

最近はマンガやゲームがすぐにドラマCD化したりするから

触れる機会は多いかなと思います。

 

また、女性向けだと、

シチュエーションCDとか呼ばれ、

通常のドラマCDから

さらにカテゴライズされたりします。

ここでは、ドラマCDとシチュエーションCDで分けて

書いていきます。

なぜならこの2つもまた、書き分けが必要なので…!

 

その違いですが、

登場人物がふたり以上で、かけあいながら

物語が進んでいく形式をこの記事の中では

ドラマCDと呼んでおきます。

 

登場人物がひとりで

聞いてるユーザーとふたりきりという

シチュエーションを想定しているものを

シチュエーションCDと呼びます。

 

ドラマCDもシチュエーションCDも、

台本の書き方という書式は一緒だけれど

注意すべき点があります!

 

私は初めての

ドラマCDとシチュエーションCDの台本の依頼を

ほぼ同時に受けました。

 

特にシチュエーションCDは最初の出だしで

とっっっっても苦戦し、

ディレクターさんにいっぱい赤を入れてもらい

勉強させていただいたという苦い思い出が。

 

ちなみに台本の書式は、調べればいっぱいあるので

そちらを参考にしてください。

ドラマも舞台の脚本も、基本的には同じ形式です。

(用紙は横で、文章は縦書き。

ト書き、地の文、SEなどの指示はセリフ部分より段落を下げて書き、

セリフは頭に人物名を入れる…とかです。

※SEとはサウンドエフェクト、効果音のことです)

 

 

 

このドラマCD、シチュエーションCDで

つまづいた点をさらします…!

 

・聞き返しが多い

・説明セリフが多い

・主人公(聞くユーザー)の容姿を特定する

 

初めてのお仕事で、

やってしまったのは

上記3つ!

どういうことか説明していきますね。

 

・聞き返しが多い、とは?

例として家が隣の幼なじみ、コウタというキャラクターの

シチュエーションCDの脚本を書いたとします。

主人公(あなた)とコウタの両親同士がそろって夫婦旅行に出かけ

しばらく二人だけの日が続く。

お互いの家を行き来するのが当たり前の日常が、

だんだん、特別へと変化していく…というシチュエーションです。

 

▼▼***サンプル***▼▼

 

    SE:すずめの鳴き声

    SE:目覚まし時計の音、だんだん大きくなっていきなり止まる

 

コウタ「おい、起きろって……」

コウタ「は? 深夜に怪談番組見たからうまく眠れなかった?」

コウタ「で、まだ目が覚めてないってことかよ」 

コウタ「だから? もう少し寝かせて欲しいって?」 

 

▲▲***サンプル***▲▲

 

これは、コウタのセリフの間に主人公が喋ってると

想定してください。

コウタのセリフを聞けば、

主人公が何言ってるのかまるわかりなんですけど

 

まあ、それが問題だと、そういうわけです。

 

サンプル量が少ないので普通に感じるかもしれないけれど、

これが約1時間ある内容の中で

何度も繰り返してると、そのたびに会話が途切れて

聞いてる側として集中力が切れてしまうんですよね。

なので、疑問符をつけて明らかに質問するセリフは

なるべく少ないほうがいいと言われました。

 

▼▼***サンプル改***▼▼

 

    SE:すずめの鳴き声

    SE:目覚まし時計の音、だんだん大きくなっていきなり止まる

 

コウタ「まーだ寝てんのかよ、いい加減起きろ」

コウタ「どうせあれだろ、深夜にやってた怪談番組とか見て

寝れなかったんじゃねぇか」

コウタ「プ、あたりかよ! お前、昔っから変わってないのな……って、

オレが喋ってる間に何、二度寝しようとしてんだよ」

 

    SE:ふとんを取り上げる

 

▲▲***サンプル改***▲▲

 

こっちにしてみるとどうでしょう。

出来事は変わってないのに、

コウタと主人公の親密性とか垣間見えて

より自然な流れじゃないですか?

 

違いが分からない…ってときは、ごめんなさい。

 

まあともかく、ここでは

主人公が喋っただろうセリフを

繰り返さないよう注意! ということが

言いたいんです。

普通に会話しているように、

流れるような展開を

心がけるのが大事です。

 

 

・説明セリフが多い、とは?

ドラマCD含めですけど、どちらもキャラのセリフでしか

今どんな展開なのかが分かりません。

もちろん、SEやBGMでも表現しますが

セリフの内容が一番、ダイレクトに伝わります。

なので、慣れないうちはどうしても

その場の状況をセリフで書いちゃうんですよねぇ。

どういうことかは、サンプルをどうぞ。

 

▼▼***サンプル***▼▼

 

    SE:車の急ブレーキ

 

佐々木「おい、黒田! 信号赤なのに飛び出したら危ないだろっ」

黒田 「わりぃ、ボーッとしてた」

佐々木「それ、手に持ってんのスマホだな?

歩きスマホは危険だって知らないのか?」

黒田 「分かってるけどつい、さ。このアプリが面白くて」

 

▲▲***サンプル***▲▲

 

佐々木くんと黒田くん、という

男子高校生を想定して描いたんですけど

かなり説明くさいセリフですよね。

これを直したものがこちら。

 

▼▼***サンプル改***▼▼

 

    SE:車のクラクション

 

佐々木「おい、黒田っ」

黒田 「え、うわ……!」

 

    SE:急ブレーキ

 

運転手「何してんだ! 赤信号が見えてねぇのか!」

黒田 「ご、ごめんなさい!」

運転手「次からは気をつけろよ」

 

    SE:車が発進して遠ざかっていく

 

佐々木「ほんとに、何してんだよお前……」

黒田 「(反省の色なし)スマホのアプリが面白くてさ」

佐々木「それでケガしたらどうすんだよ!」

黒田 「ごめん! 次からは気をつける!」

 

▲▲***サンプル改***▲▲

 

 

運転手のモブを増やしていいのか、

それはディレクターに要確認だけど…

こっちのほうが起きた出来事や、

佐々木くん、黒田くんのキャラが出て、

より自然な会話になったんじゃないかと!

 

最近、ドラマCDはやってないから

勘が鈍ってるのは大目に見てください。

 

ここで言いたいのは、起きてる出来事を

セリフで説明しない、です。

SEで車が近づいてきて急ブレーキをかける、

という効果を入れれば、

車に轢かれそうになったのは

伝わりますよね。

 

こっちのほうが臨場感が出て、

より内容に没入しやすくなるので

状況を伝えるときはいろいろ工夫したほうがいい、

ということです。

 

ちなみに、黒田くんのセリフで

黒田 「(反省の色なし)スマホのアプリが面白くてさ」

()に囲まれた、青い色の部分がありますが

これは声優さんに、こんな心境で読んでほしいと

伝えたいときに入れたりします。

ここは、

(怯えた様子で)、(少し後ろめたく)

でも問題はないんですが、

黒田くんが調子に乗りやすいタイプなので、

(反省の色なし)としてます。

 

 

・主人公(聞くユーザー)の容姿を特定する、とは?

これは主にシチュエーションCDですが、ドラマCDでも

複数人から語りかけられるという設定もあるので

ユーザーを主人公と考えて、物語の一員として話が進むとき、のこと。

 

年代は20代後半~30代、職業は美容師、性別は女性、

…と、年代や職業は指定が多いんですが

(会社の同僚なのか、学校のクラスメートなのか

登場人物との関係性の都合上、ここは指定しないと

話が成り立たない)

 

背が高い、目が大きい、肌が白い、

…などの容姿について触れるのはNGと言われました。

 

シチュエーションCDの場合、

恋愛関係がほとんどなので

キャラが褒めてくれるわけですが、そのときは

「あ、ほおが赤くなった。カワイイ」とか

「君が笑った顔、好きだな」とか

「そんな目で見つめられると……照れるな」

「俺の為に気合入れてくれたの? ありがと」

…など、

聞いてる側が好きに妄想できる余地を与えた

セリフにするのが正解です。

 

「その大きな瞳で見つめられると照れるな」だと、

目にコンプレックスがある人だと

自分に言われてると思えなく、

集中して聞けなくなるから…!

 

私は地肌が浅黒いほうなので

「白い肌が素敵だね」

とか言われたら、誰の事言ってんのや!

…てキレますね。

 

つまりそういうことです。

 

 

以上が、ドラマCD(シチュエーションCD含む)の台本を書くときに

気をつけたほうがいい点です!

今はドラマCDの脚本を経験してる

ライターさんがいっぱいいるから聞けるんですけど、

私が最初に仕事受けたときはそういう知り合いがおらず…!

 

今だったらそうだよなぁ~と思える

基本的なことすら分かってませんでした。

だから、あのときの私に見せてあげたい。

そんな気持ちで記事にしました。

 

こんな感じで、

残りのドラマ脚本や舞台脚本についても

書いていきたいと思います!

このシリーズは、

“シナリオ書き方講座”というカテゴリーで

ひとくくりにしてるので、まとめて読みたい人は

そのカテゴリーから読み返してみてください。